分野4 タックス 税金 頻出

タックスプランニング

所得税のしくみを、いちばんやさしく。控除を制する者が制す。

🎯 このレッスンのゴール

  1. 所得税の基本ルール(暦年・申告納税方式・超過累進税率)が分かる
  2. 所得税の計算の「全体の流れ」を順番に言える
  3. 10種類の所得と、総合課税・分離課税・損益通算のしくみをつかむ
  4. 所得控除と税額控除のちがい、確定申告と年末調整が分かる

こんにちは、先生役の「ブタコイン」です。税金と聞くとむずかしそう…でも大丈夫。FP3級のタックスは、「所得を出す → 控除を引く → 税率をかける → さらに控除を引く」という、たった一本の流れさえつかめば一気にラクになります。控除(こうじょ)が主役ですよ。いっしょに見ていきましょう!

1. まず知る、所得税の基本ルール

所得税(しょとくぜい)は、個人が1年間に得た所得(もうけ)にかかる国の税金です。会社にかかるのは法人税で、ここでは「個人」が対象です。所得税には、覚えておきたい基本ルールが4つあります。

ルール意味
個人にかかる個人が得た所得に課される(会社は法人税)。
暦年(れきねん)単位1月1日〜12月31日の1年間の所得をまとめて計算する。
申告納税方式納める人が自分で所得と税額を計算し、申告して納める方式。
超過累進税率所得が多いほど高い税率がかかる。ただし高い税率がかかるのは「増えた部分だけ」。
たとえ話:累進税率は「階段の上の段だけ高い」

超過累進税率は、所得全体に高い税率がドンとかかるわけではありません。階段のように、低い段はそのまま、一定額を超えた部分にだけ高い税率がかかります。だから「ちょっと収入が増えたら手取りが逆に減る」ということは基本的に起きません。安心して稼いでOK、というしくみです。

所得税の計算は、この流れ(超重要)

所得税は、次の順番で計算します。この一本道を覚えるだけで、タックスの大部分が見えてきます。

所得税 計算の全体フロー

① 所得を求める(収入−必要経費など)

② 所得を合計する → 課税標準

所得控除を引く → 課税所得金額

④ 課税所得に税率をかける → 算出税額

税額控除を引く

納付税額(実際に納める金額)

ステップやること(ざっくり)
① 各種所得を計算10種類の所得ごとに、もうけ(所得金額)を出す。
② 所得を合算合算する所得をまとめる(総合課税)。
③ 所得控除を引く基礎控除や社会保険料控除などを差し引く。
④ 税率をかける残った課税所得に、超過累進税率をかけて税額を出す。
⑤ 税額控除を引く住宅ローン控除などを、税額から直接引く。
⑥ 納付税額が確定最終的に納める所得税が決まる。

2. 所得は全部で10種類

所得税では、もうけの中身によって所得を10種類に分けます。種類ごとに計算ルールがあるためです。まずは「こんな仲間がいるんだ」とつかみましょう。

所得の種類どんなもうけ?(一言)
利子所得預貯金や公社債などの利子。
配当所得株式の配当金など。
不動産所得土地・建物などを貸して得る家賃収入。
事業所得商売・農業・自営業などの事業のもうけ。
給与所得会社員・パートなどの給料・賞与。
退職所得退職金など、退職にともなって受け取る所得。
山林所得山林を伐採・譲渡して得る所得。
譲渡所得土地・建物・株式・ゴルフ会員権などを売った利益。
一時所得懸賞・生命保険の満期金など、一時的・偶発的なもうけ。
雑所得公的年金・副業など、ほかの9つに当てはまらない所得。
覚え方のヒント

「利・配・不・事・給・退・山・譲・一・雑(り・はい・ふ・じ・きゅう・たい・さん・じょう・いち・ざつ)」と、頭の文字を声に出して繰り返すと10種類が定着します。最初の方の「不・事・…・山」あたりは、次の損益通算でも主役になりますよ。

3. 総合課税・分離課税・損益通算

10種類の所得は、税金のかけ方が2タイプに分かれます。

課税方法内容
総合課税いくつかの所得を合算し、まとめて累進税率で課税する。給与所得・事業所得などが代表。
分離課税ほかの所得と合算せず、単独で課税する。退職所得・土地建物や株式の譲渡所得などが代表。

赤字を黒字で相殺する「損益通算」

損益通算(そんえきつうさん)とは、ある所得で出た赤字(マイナス)を、ほかの所得の黒字(プラス)から差し引けるしくみです。ただし、赤字を通算できる所得は決まっています。

損益通算できる4つの所得=「富士山上(ふじさんじょう)」

赤字を他の所得と通算できるのは、次の4つだけ。
動産所得
業所得
林所得
渡所得
頭文字をとって「不・事・山・譲」、語呂で「富士山上(ふじさんじょう)」と覚えます。

注意:この4つでも通算できないものがある

「富士山上」のうち譲渡所得でも、生活に通常必要でない資産(ゴルフ会員権など)の損失は通算できないなど、例外があります。FP3級では「まず4つを覚える → 例外がある」の順でOK。また一時所得・雑所得などの赤字は通算できません

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4. 所得控除(課税所得を減らす)

所得控除(しょとくこうじょ)は、その人の事情(家族がいる、保険料を払ったなど)に応じて、課税の対象となる所得を減らしてくれるしくみです。控除が多いほど、税金のもとになる金額が小さくなります。3級でよく出るものを集めました。

所得控除どんなとき?(一言)
基礎控除合計所得が一定以下なら、だれでも受けられる基本の控除。
配偶者控除所得が一定以下の配偶者がいる場合の控除。
配偶者特別控除配偶者控除の対象から少し外れる配偶者がいる場合の控除。
扶養控除所得が一定以下の扶養親族(子・親など)がいる場合の控除。
社会保険料控除支払った健康保険・年金などの社会保険料が対象(全額が控除)。
生命保険料控除支払った生命保険・介護医療・個人年金の保険料が対象。
地震保険料控除支払った地震保険料が対象。
医療費控除1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合の控除。
寄附金控除国や自治体などへの寄附(ふるさと納税など)が対象。
具体例:医療費控除のイメージ

家族の入院や通院でその年に多くの医療費を払ったとき、一定額を超えた分を所得から差し引けます。これにより課税所得が下がり、結果として税金が軽くなります。「たくさん医療費がかかった人の負担を、税金の面で少し軽くしてあげる」しくみです。

5. 税額控除(税金そのものを直接減らす)

税額控除(ぜいがくこうじょ)は、計算して出た税額(税金そのもの)から直接引ける控除です。FP3級では、次の2つが特に重要です。

税額控除内容
住宅借入金等特別控除
(住宅ローン控除)
住宅ローンを使ってマイホームを取得した場合に、年末のローン残高などに応じて税額から差し引ける控除。初年度は確定申告が必要(給与所得者は2年目以降は年末調整で受けられる)。
配当控除配当所得を総合課税で申告した場合に受けられる税額控除。法人税と所得税の二重課税をやわらげるためのもの。

6. 所得控除と税額控除のちがい【最重要】

タックスでいちばん問われるのが、この2つの「引く場所」のちがいです。ここだけは確実に押さえましょう。

ここが核心:引く「場所」がちがう

所得控除課税所得を減らす。税率をかけるに、もとになる所得から引く。
税額控除税額そのものを直接減らす。税率をかけたの税金から引く。
つまり、所得控除は「もと」を小さく、税額控除は「結果」を小さくします。一般に、同じ金額なら税額を直接減らす税額控除のほうが減税効果は大きくなります。

比べる点所得控除税額控除
引く場所課税所得(税率をかける前)税額(税率をかけた後)
効果課税所得が減る税金が直接減る
代表例基礎控除・医療費控除・社会保険料控除 など住宅ローン控除・配当控除
たとえ話:割引券の使う場所

買い物にたとえると、所得控除は「商品の値札そのものを下げてもらう割引」、税額控除は「レジで合計金額からそのまま値引きしてもらうクーポン」。レジでの値引き(税額控除)のほうが、効き目がストレートに大きいイメージです。

7. 確定申告・源泉徴収・年末調整

所得税は申告納税方式ですが、会社員は会社が手続きをしてくれる場面が多くあります。3つの言葉を整理しましょう。

用語意味
確定申告1年分の所得・税額を自分で計算し、原則として翌年の2月16日〜3月15日に申告・納付する手続き。
源泉徴収給料などを払う側(会社)が、あらかじめ所得税を天引きして国に納めるしくみ。
年末調整会社が、源泉徴収した税額と本来の税額のズレを年末に精算する手続き。多くの会社員はこれで完了する。
会社員は「原則 年末調整」でOK

給与所得者の多くは、会社の年末調整で所得税の精算が終わるため、自分での確定申告は不要です。ただし、年末調整ではできない手続きや、給与以外の所得がある場合などは、確定申告が必要になります。

会社員でも確定申告が必要な人の例

大切なお知らせ:数字は最新を公式で確認/本サイトは学習用です

控除の具体的な金額・割合・期限などは、法改正で変わることがあります。最新の正確な情報は、国税庁など公式サイトで必ず確認してください。また、当サイトはFP3級の学習を目的とした一般的な解説であり、個別の税務相談に応じるものではありません。実際の申告・節税は税理士など専門家にご相談ください。

よくがんばりました!「流れ」「10種類」「富士山上」「所得控除と税額控除のちがい」――この4つを覚えれば、タックスはもう怖くありません。それでは確認テストでチェックしましょう!

✏️ 確認テスト(全6問)

〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。

Q1. 所得税は、1月1日から12月31日までの1年間(暦年)の所得に対してかかる。

正解は 。所得税は暦年(1/1〜12/31)単位で計算します。

Q2. 所得税の税率は、所得が多くても少なくても一律(フラット)である。

正解は ×。所得税は超過累進税率で、所得が多いほど(増えた部分に)高い税率がかかります。

Q3. 所得は、利子・配当・給与など全部で「8種類」に分けられる。

正解は ×。所得は10種類です(利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑)。

Q4. 損益通算ができる所得は、不動産・事業・山林・譲渡の4つ(富士山上)が基本である。

正解は 。赤字を通算できるのは不・事・山・譲=「富士山上」が基本です(例外あり)。

Q5. 医療費控除は、税額そのものから直接差し引く「税額控除」である。

正解は ×。医療費控除は所得控除で、課税所得を減らすものです。税額から直接引くのは税額控除(住宅ローン控除・配当控除など)です。

Q6. 多くの会社員(給与所得者)は、勤務先の年末調整によって所得税の精算が終わり、原則として自分での確定申告は不要である。

正解は 。給与所得者は原則年末調整で完了します。ただし医療費控除や住宅ローン控除の初年度などは確定申告が必要です。

📝 一問一答(全7問)

Q1. 所得税の課税期間(単位)は?
A. 暦年=1月1日〜12月31日の1年間です。
Q2. 納税者が自分で所得・税額を計算して申告・納付する方式を何という?
A. 申告納税方式です。
Q3. 所得が多いほど高い税率がかかるしくみを何という?
A. 超過累進税率です。高い税率は「超えた部分」だけにかかります。
Q4. 所得は全部で何種類に分けられる?
A. 10種類(利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑)です。
Q5. 損益通算できる4つの所得の覚え方は?
A.富士山上(ふじさんじょう)」=動産・業・林・渡の4つです。
Q6. 課税所得を減らすのが所得控除。では税額そのものを直接減らすのは?
A. 税額控除です(住宅ローン控除・配当控除など)。
Q7. 会社が源泉徴収した税額と本来の税額のズレを年末に精算する手続きは?
A. 年末調整です。多くの給与所得者はこれで完了します。

このレッスンのまとめ

📌 このページのまとめ

  • 所得税は個人の所得にかかり、暦年・申告納税方式・超過累進税率が基本ルール。
  • 計算の流れは「所得を求める→所得控除を引く→課税所得→税率→税額控除を引く→納付税額」。
  • 所得は10種類。課税は総合課税分離課税に分かれる。
  • 損益通算できるのは「富士山上」=不動産・事業・山林・譲渡(例外あり)。
  • 所得控除=課税所得を減らす/税額控除=税額そのものを直接減らす。これが最重要ポイント。
  • 税額控除の代表は住宅ローン控除・配当控除
  • 給与所得者は原則年末調整で完了。医療費控除や住宅ローン控除の初年度などは確定申告が必要。
  • 具体的な金額・期限は変わりうるので最新は公式で確認を。本サイトは学習用で、個別の税務相談ではありません。