🎯 このレッスンのゴール
- 保険の基本のしくみ(大数の法則・保険料の内訳)が分かる
- 生命保険の3つの基本形(定期・終身・養老)を見分けられる
- 第三分野の保険と、損害保険のおもな種類が言える
- 生命保険料控除や、保険金にかかる税金の基本パターンをつかむ
こんにちは、先生役の「ブタコ先生」です。リスク管理は、ひとことで言うと「もしもの大ピンチに、みんなで少しずつお金を出し合って備える」しくみ。むずかしい用語が出てきても大丈夫。たとえ話で、ゆっくり一緒に見ていきましょう。
1. 保険の基礎:リスクに備えるしくみ
生きていると、病気・ケガ・死亡・火事・事故など、いつ起こるか分からない「もしも」がたくさんあります。こうしたリスク(危険)に対して、自分の貯金だけで備えるのは大変です。そこで登場するのが保険です。
保険は、たくさんの人が保険料を出し合って大きなお金のプールを作り、実際に「もしも」が起きた人に保険金を支払う、という助け合いのしくみです。
クラス40人が毎月100円ずつ出して、誰かのカサが壊れたら新しいカサを買ってあげる、という約束をしたとします。1人で1万円のカサ代を貯めるのは大変でも、40人で少しずつなら無理なく備えられますよね。保険はこれを大きな規模でやっているイメージです。
大数(たいすう)の法則
保険のしくみを支えているのが大数の法則です。これは、1人ひとりに何が起こるかは分からなくても、たくさんの人を集めて見ると、事故や病気の起こる割合がだいたい一定になる、という考え方です。この割合が分かるからこそ、保険会社は「いくら保険料を集めればよいか」を計算できます。
サイコロを1回だけ振っても、何が出るかは予想できません。でも6,000回振れば、それぞれの目が約1,000回ずつ出る、とほぼ分かります。同じように「ある人が今年病気になるか」は分からなくても、「1万人のうち何人くらいが病気になるか」は統計で見えてくる――これが大数の法則です。
保険料のしくみ
私たちが払う保険料(営業保険料)は、大きく2つの部分でできています。
| 保険料の内訳 | 役割 |
|---|---|
| 純保険料 | 将来の保険金の支払いにあてる部分。さらに死亡保険料(死亡保険金のもと)と生存保険料(満期保険金など生存時の支払いのもと)に分かれる。 |
| 付加(ふか)保険料 | 保険会社の運営にかかる経費(人件費・事務費など)にあてる部分。 |
保険料は、予定死亡率(どれくらいの人が亡くなるか)・予定利率(集めたお金を運用してどれくらい増やせるか)・予定事業費率(経費がどれくらいかかるか)の3つをもとに計算されます。「純保険料=死亡保険料+生存保険料」「営業保険料=純保険料+付加保険料」とセットで押さえましょう。
契約者の保護
もし保険会社が経営破たんしたらどうなるの?――そんな不安に備えて、契約者を守るしくみが保険契約者保護機構です。生命保険会社向けの生命保険契約者保護機構と、損害保険会社向けの損害保険契約者保護機構があり、原則として国内で営業する保険会社は加入が義務づけられています。破たん時にも、契約が一定の範囲で保護されます。
保護機構による補償の割合や対象は、保険の種類によって異なり、見直されることもあります。最新の正確な内容は、生命保険契約者保護機構・損害保険契約者保護機構の公式サイトで確認してください。本ページの記載は学習の目安です。
2. 生命保険の3つの基本形
生命保険には数えきれない商品がありますが、もとをたどるとたった3つの基本形の組み合わせです。この3つを押さえれば、生命保険の大半が理解できます。
- 定期保険:決められた期間(定期)だけ保障する保険。期間中に亡くなれば保険金が出ますが、満期まで生きていても満期保険金はありません(いわゆる掛け捨て)。そのぶん保険料は安く、保障重視。
- 終身保険:保障が一生涯続く保険。いつ亡くなっても必ず保険金が支払われます。解約すると解約返戻金があり、貯蓄性もあります。
- 養老保険:保障と貯蓄の両方を持つ保険。保険期間中に亡くなれば死亡保険金、満期まで生きていれば同額の満期保険金が受け取れます。
| 種類 | 保障期間 | 満期保険金 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 定期保険 | 一定期間 | なし | 掛け捨て・保険料が安く保障重視 |
| 終身保険 | 一生涯 | なし(満期がない) | 必ず死亡保険金が出る・貯蓄性あり |
| 養老保険 | 一定期間 | あり(死亡保険金と同額) | 保障+貯蓄・保険料は高め |
定期はレンタル傘――必要な期間だけ安く借りて、返したら手元には残りません。終身は一生使えるマイ傘――いつ雨が降っても必ず役立ちます。養老は「期間内に雨が降れば使い、降らなくても満期に同じ値段で買い取ってもらえる傘」。貯蓄もできる、いいとこ取りタイプです。
特約(とくやく)でカスタマイズ
基本形(主契約)に、オプションとして付け足すのが特約です。主契約だけではカバーしきれない保障を上乗せできます。
- 医療特約:入院・手術などに備える。
- がん特約:がんと診断されたとき・治療したときに備える。
- 特定疾病(三大疾病)特約:がん・急性心筋梗塞・脳卒中などに備える。
- 災害割増特約・傷害特約:不慮の事故による死亡・ケガに備える。
特約は主契約に「くっつける」もの。主契約を解約すると、特約も一緒になくなります。特約だけを単独で契約することはできません。
3. 第三分野の保険
保険は大きく、人の生死に備える生命保険(第一分野)、モノや事故に備える損害保険(第二分野)に分かれます。そのどちらにも当てはまらない、「人のケガ・病気」に備える保険が第三分野です。生命保険会社も損害保険会社も、どちらも取り扱えます。
| 第三分野の保険 | どんなとき役立つ? |
|---|---|
| 医療保険 | 病気やケガで入院・手術をしたときに給付金が出る。 |
| がん保険 | がんの診断・入院・手術・通院などに手厚く備える。一般に契約後すぐは保障されない待ち期間がある。 |
| 就業不能保険 | 病気やケガで長く働けなくなったとき、収入の減少に備える。 |
| 介護保険(民間) | 所定の介護状態になったときに給付金が出る。 |
会社員のAさんが盲腸で1週間入院し、手術を受けました。医療保険に入っていれば、入院日数に応じた入院給付金と、手術への手術給付金を受け取れます。公的医療保険(健康保険)でカバーしきれない自己負担や、入院中の収入減を補う役割です。
4. 損害保険
損害保険は、火事・事故・災害などで生じた損害を、お金で穴うめする保険です。実際の損害額をもとに保険金が支払われるのが基本(実損てん補)です。おもな種類を見ていきましょう。
火災保険と地震保険
火災保険は、火事・落雷・風災・水ぬれなどで建物や家財がこうむった損害に備える保険です。ただし、地震・噴火・津波による損害は火災保険では補償されません。これらに備えるのが地震保険です。
地震保険は単独では契約できず、必ず火災保険とセットで契約します(火災保険に付帯する形)。保険金額は主契約である火災保険の一定割合の範囲内、と決められています。「地震だけの保険には入れない」と覚えましょう。
自動車の保険:強制と任意
| 種類 | 強制/任意 | 内容 |
|---|---|---|
| 自賠責保険(自動車損害賠償責任保険) | 強制(加入が義務) | 自動車を持つ人全員が必ず入る。対人賠償(人身事故)のみを補償し、物損や運転者自身のケガは対象外。 |
| 任意の自動車保険 | 任意 | 自賠責で足りない部分を上乗せ。対人・対物賠償、車両保険、搭乗者のケガなど、幅広く備えられる。 |
自賠責保険は被害者救済が目的で、補償される金額には上限があります。相手の物(車・建物など)への損害や、高額な賠償には対応しきれないため、多くの人が任意保険で上乗せしています。
その他の損害保険
- 傷害保険:日常生活やレジャー中の急な事故によるケガ(入院・通院・死亡など)に備える。普通傷害保険・家族傷害保険・交通事故傷害保険などがある。
- 賠償責任保険:他人にケガをさせたり、他人のモノをこわしたりして、賠償する責任を負ったときに備える。日常生活での事故をカバーする個人賠償責任保険が代表例。
自転車で歩行者にぶつかってケガをさせてしまい、高額な賠償を求められた――こんなときに役立つのが個人賠償責任保険です。自動車保険や火災保険の特約として付けられることも多く、保険料も比較的手ごろです。
5. 保険と税金
保険は「払うとき」と「もらうとき」で税金との関わりがあります。FP3級では、この2つの場面をしっかり区別することが大切です。
払うとき:保険料の控除
1年間に支払った保険料の一部は、所得控除として所得から差し引け、所得税・住民税が軽くなります。
- 生命保険料控除:支払った生命保険料に応じて控除。一般の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の3つの区分に分かれる。
- 地震保険料控除:支払った地震保険料に応じて控除。地震保険だけが対象で、火災保険料は対象外。
生命保険料控除・地震保険料控除には、それぞれ年間の控除限度額が定められており、契約時期や制度改定によって扱いが変わることがあります。最新の正確な金額は国税庁の公式サイトで確認してください。
もらうとき:保険金にかかる税金
受け取る保険金は、「契約者(保険料を払った人)」「被保険者(保険の対象になる人)」「受取人(保険金を受け取る人)」の関係によって、かかる税金の種類が変わります。死亡保険金の代表的なパターンを表にまとめました。
| 契約者(保険料負担) | 被保険者 | 受取人 | かかる税金 |
|---|---|---|---|
| A | A | B | 相続税(自分で払って自分にかけ、遺族が受け取る) |
| A | B | A | 所得税(自分で払って、自分が受け取る) |
| A | B | C | 贈与税(払う人・対象・受取人が全員バラバラ) |
ポイントは「保険料を払った契約者」と「受取人」の関係。
・契約者=被保険者で、受取人が別の人 → 亡くなった本人の財産扱いで相続税
・契約者=受取人(同じ人)が受け取る → 自分の利益なので所得税
・契約者・被保険者・受取人が全員ちがう人 → 契約者から受取人への贈り物とみなされ贈与税
満期保険金・解約返戻金
養老保険などの満期保険金や、解約したときに戻る解約返戻金も、誰が払って誰が受け取るかで扱いが変わります。契約者(保険料を払った人)自身が受け取る場合は、原則として所得税(一時所得など)の対象になります。契約者と受取人が異なる場合は、贈与税の対象になることがあります。
夫が保険料を払い、夫が満期保険金を受け取る養老保険 → 所得税の対象(一時所得)。一方、夫が払って妻が満期保険金を受け取る場合は、夫から妻へお金をあげた形になり贈与税の対象になります。「誰の財布から出て、誰のポケットに入るか」で考えると整理しやすいですよ。
✏️ 確認テスト(全6問)
〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。
Q1. 大数の法則とは、多くの対象を集めると事故や死亡の起こる割合がほぼ一定になる、という考え方である。
正解は 〇。1人ひとりは予測できなくても、たくさん集めれば割合が読める――この大数の法則が、保険料計算の土台になっています。
Q2. 定期保険は、満期まで生きていると満期保険金が受け取れる、貯蓄性の高い保険である。
正解は ×。定期保険は掛け捨てで満期保険金はありません。満期保険金があるのは養老保険です。
Q3. 終身保険は、保障が一生涯続き、いつ亡くなっても死亡保険金が支払われる。
正解は 〇。終身保険は一生涯保障が続くため、必ず死亡保険金が支払われ、解約返戻金による貯蓄性もあります。
Q4. 地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットで契約する。
正解は 〇。地震・噴火・津波の損害は火災保険ではカバーされず、地震保険で備えます。地震保険は火災保険に付帯する形でしか入れません。
Q5. 自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、加入するかどうかを自由に選べる任意保険である。
正解は ×。自賠責保険は加入が義務づけられた強制保険です。自由に選べる(上乗せの)ものは任意の自動車保険です。
Q6. 契約者・被保険者・受取人が全員別々の人である死亡保険金には、相続税がかかる。
正解は ×。3者が全員ちがう場合は、契約者から受取人への贈り物とみなされ贈与税がかかります。相続税は「契約者=被保険者」の場合です。
📝 一問一答(全7問)
Q1. 純保険料は、どんな2つの保険料に分かれる?
Q2. 保険会社が破たんしたときに契約者を保護するしくみは?
Q3. 保障と貯蓄をかね備え、満期保険金が死亡保険金と同額になる保険は?
Q4. 生命保険にも損害保険にも当てはまらない、ケガ・病気に備える保険のグループは?
Q5. 地震・噴火・津波による損害に備える保険は?
Q6. 支払った保険料のうち、所得控除になるのは何という控除?
Q7. 契約者と受取人が同じ人で、満期保険金を受け取ったときの税金は?
このレッスンのまとめ
・保険は大数の法則を土台に、みんなで保険料を出し合って備えるしくみ。
・保険料は純保険料(死亡+生存)+付加保険料。破たん時は保険契約者保護機構が守る。
・生命保険の基本形は定期(掛け捨て・保障)・終身(一生涯)・養老(保障+貯蓄)の3つ。
・地震保険は火災保険とセット、自賠責は強制・任意保険は任意。
・払うときは生命保険料控除・地震保険料控除(所得控除)。
・もらう死亡保険金は契約者・被保険者・受取人の関係で相続税/所得税/贈与税に分かれる。
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