分野1 ライフプランニング 頻出 基礎

ライフプランニングと資金計画

くらしとお金の土台。社会保険・年金・住宅ローンをやさしく。

🎯 このレッスンのゴール

  1. ライフプランを立てる3つの道具(表)が分かる
  2. 6つの係数が「何を求めるための係数か」を見分けられる
  3. 社会保険と、2階建ての公的年金のしくみをつかめる
  4. 住宅ローンの金利型・返済方法・繰上げ返済の違いが分かる
  5. FPがやってよいこと・いけないこと(業法)を理解できる

こんにちは、先生役の「ブタコ先生」です。この分野は、結婚・住宅・教育・老後といった人生のお金のイベントを計画するお話。むずかしい言葉も出てきますが、ぜんぶ「いつ・いくら必要か」を考えるための道具です。FP3級でいちばん最初に学ぶ、土台の分野ですよ。

1. ライフプランニングの3つの道具

ライフプランニングとは、これからの人生でやりたいこと(イベント)と、それに必要なお金を見える化して計画することです。FPはお客さまの夢や目標を聞き取り、次の3つの表を作ってお手伝いします。

道具(表)何を書く?
ライフイベント表家族の年齢と、これから起きる予定(結婚・出産・住宅購入・教育・退職など)と、その費用を時系列でならべた表。
キャッシュフロー表毎年の収入・支出・年間収支・貯蓄残高を予想して、将来のお金の流れを見える化した表。
個人バランスシートある時点の「資産」と「負債」をならべ、差額の純資産(正味の財産)を確認する表。
たとえ話:人生の「お金の地図」

旅行に行くとき、行き先と費用を書き出した計画表があると安心ですよね。ライフイベント表は「人生の行き先リスト」、キャッシュフロー表は「お金がいつ足りなくなりそうかを示す地図」、個人バランスシートは「いまの財布の中身の写真」。3つそろうと、将来の備えがぐっと立てやすくなります。

ポイント:キャッシュフロー表は「変動」させて書く

キャッシュフロー表の収入や支出は、物価の上昇などを見込んだ将来の金額で書きます。今の金額に変動率を掛けて、n年後の予想額を出すのが基本。また、収入欄には税金や社会保険料を引いた可処分所得(手取り)を使う点も押さえましょう。

2. 6つの係数

「今100万円を預けたら何年後にいくら?」「毎年いくら積み立てれば目標額になる?」――こうした計算をラクにする便利な数字が6つの係数です。暗記より、「何を求めるための係数か」で覚えるのがコツです。

係数何を求める?(ざっくり)
終価係数今ある元手を運用したら、将来いくらになるか。
現価係数将来の目標額のために、今いくら用意すればよいか。
年金終価係数毎年一定額を積み立てたら、将来いくらになるか。
減債基金係数将来の目標額のために、毎年いくら積み立てればよいか。
資本回収係数今ある元手を取り崩すと、毎年いくら受け取れるか(ローンの毎年返済額にも使う)。
年金現価係数毎年一定額を受け取るために、今いくら元手が必要か。
具体例

「10年後に300万円ためたい。毎年いくら積み立てればいい?」→ 将来の額から毎年の積立額を逆算するので減債基金係数を使います。逆に「毎年30万円を積み立てたら10年後いくら?」なら年金終価係数。「毎年」「将来か今か」をセットで考えると迷いません。

注意:ペアで覚えると速い

「終価⇔現価」「年金終価⇔減債基金」「資本回収⇔年金現価」のように、反対向きの計算がペアになっています。試験では計算過程より「どの係数を選ぶか」が問われるので、まず役割を覚えましょう。

- スポンサーリンク -
広告スペース

3. 社会保険のしくみ

病気・ケガ・失業・老後など、人生のリスクにみんなで備える公的な仕組みが社会保険です。FP3級では、次の5つの役割をざっくり言えるようにしておきましょう。

社会保険役割(ひとことで)
公的医療保険(健康保険)会社員などが対象(被用者保険)。病気・ケガの医療費の自己負担を軽くする。
公的医療保険(国民健康保険)自営業者など、健康保険に入らない人が対象の医療保険。
公的医療保険(後期高齢者医療制度)原則75歳以上の人が加入する医療制度。
公的介護保険介護が必要になったとき、介護サービスの費用を支える。原則40歳から加入。
労災保険(労働者災害補償保険)仕事中・通勤中のケガや病気を補償する。保険料は全額会社が負担。
雇用保険失業したときの給付や、育児・介護で休むときの給付などを行う。
ポイント:医療保険は「働き方」で入る先が変わる

会社員などは勤め先を通じて健康保険(被用者保険)、自営業者などは国民健康保険に入ります。そして原則75歳になると、全員が後期高齢者医療制度へ移ります。だれがどこに入るか、をまず整理しましょう。

4. 公的年金は「2階建て」

日本の公的年金は、1階と2階に分かれた2階建て構造です。土台がみんな共通で、その上に会社員などの上乗せが乗るイメージです。

制度だれが加入?
1階(土台)国民年金(基礎年金)日本に住む20歳以上60歳未満の人が原則全員加入。
2階(上乗せ)厚生年金会社員・公務員など。国民年金に上乗せして加入。
たとえると…

1階の国民年金は、みんなが住む共通の「土台フロア」。2階の厚生年金は、会社勤めの人だけが使える「ロフト付きの部屋」。だから会社員は1階+2階の両方を受け取れて、年金が手厚くなります。

公的年金から受け取れる給付には、大きく3つの種類があります。

給付どんなとき受け取る?
老齢給付(老齢年金)年をとったとき。原則65歳から受け取れる。
障害給付(障害年金)病気・ケガで一定の障害が残ったとき。
遺族給付(遺族年金)加入者が亡くなったとき、残された家族が受け取る。
ポイント:受給開始は「原則65歳」

老齢年金は原則65歳から。希望すれば早めにもらう繰上げ(受取額は減る)や、遅らせる繰下げ(受取額は増える)も選べます。「原則65歳」を軸に、早く=減る・遅く=増える、とセットで覚えましょう。

5. 住宅取得資金と住宅ローン

人生で最も大きな買い物が住宅です。そのお金を借りるのが住宅ローン。FP3級では「金利型」「返済方法」「繰上げ返済」の3点が頻出です。

金利の型(3タイプ)

金利型特徴
固定金利型借りたときの金利が完済までずっと変わらない。返済額が読みやすい。
変動金利型市場の金利に合わせて、返済中に金利が見直される。金利が下がると有利、上がると負担増。
固定金利期間選択型はじめの一定期間だけ固定で、期間が終わると固定か変動かを選び直す。

返済方法(2タイプ)

返済方法毎回の返済額特徴
元利均等返済毎回同じ返済額(元金+利息)が一定で、家計の見通しが立てやすい。総返済額は元金均等より多くなりやすい。
元金均等返済だんだん減る毎回返す元金が一定。はじめは返済額が多いが、総返済額は元利均等より少なくなりやすい。
具体例:どっちがおトク?

同じ金額・同じ金利・同じ期間で借りた場合、総返済額(払う利息の合計)は元金均等返済のほうが少なくなりやすいです。ただし元金均等は最初の返済額が大きいので、「最初がきついが総額は得」か「毎回一定で計画的」かで選びます。

繰上げ返済(2タイプ)

タイプどうなる?
期間短縮型毎回の返済額は変えず、返済期間を短くする。利息の軽減効果が大きい。
返済額軽減型返済期間は変えず、毎回の返済額を軽くする。月々の負担をやわらげたいとき。
ポイント:フラット35

長期の固定金利で借りられる代表的な住宅ローンにフラット35があります。住宅金融支援機構と民間金融機関が連携して提供する、最長35年の全期間固定型ローン、というイメージで押さえておきましょう。

6. 教育資金の準備

子どもの進学にはまとまったお金がかかります。代表的な備え方は次の3つです。

方法どんなもの?
学資保険(こども保険)毎月保険料を払い、入学・進学の時期にお金を受け取る保険。コツコツ準備するタイプ。
教育ローン教育資金を借りる制度。公的な教育ローン(日本政策金融公庫など)と、民間の教育ローンがある。
奨学金学生本人が借りたり受け取ったりする制度。日本学生支援機構(JASSO)のものが代表的で、貸与型(返す)と給付型(返さない)がある。
イメージでつかむ

学資保険は「コツコツ貯める準備」、教育ローンは「足りない分を借りる」、奨学金は「学生本人が受ける支援」。だれが・いつ・どう用意するかが少しずつ違う、と整理しておきましょう。

7. FPと関連業法(コンプライアンス)

FPはお金の幅広い相談に乗りますが、専門資格を持つ人にしかできない仕事があります。これを破ると法律違反。FP3級でとても出やすいポイントです。

法律資格がないとできないこと
税理士法個別具体的な税務相談・税務書類の作成・申告の代行など。
弁護士法個別の法律事件の相談・代理(具体的な法律事務)。
保険業法保険の募集・勧誘(保険の販売)。
金融商品取引法個別の投資判断の助言や運用(投資助言・代理業など)には登録が必要。
注意:FPは「一般的な説明」までならOK

FPは、資格がなくても制度や一般的な仕組みの説明はできます。たとえば「所得税にはこういう控除があります」と一般論を伝えるのはOK。でも「あなたの場合は税額が◯円になります」と個別具体の計算・申告代行をすると税理士法違反になります。一般的な説明にとどめるのがFPの基本姿勢です。

注意:金額や制度は公式で最新確認を

年金額・保険料・各種制度の細かい数字は、改正されることがあります。学習の目安として読み、最新の正確な情報は日本年金機構や各官公庁の公式サイトで必ず確認してください。

お疲れさまでした! この分野は「人生のお金の全体像」。ひとつひとつは身近な話なので、表で整理すれば必ず得点源になります。それでは確認テストでチェックしていきましょう。

✏️ 確認テスト(全6問)

〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。

Q1. 将来のお金の流れ(収入・支出・貯蓄残高)を年ごとに予想してまとめた表を、キャッシュフロー表という。

正解は 。毎年の収入・支出・年間収支・貯蓄残高を予想して見える化したのがキャッシュフロー表です。

Q2. 将来の目標額のために毎年いくら積み立てればよいかを求めるときは、年金終価係数を使う。

正解は ×。将来の目標額から毎年の積立額を求めるのは減債基金係数です。年金終価係数は「毎年積み立てると将来いくらになるか」を求める係数です。

Q3. 労災保険の保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担する。

正解は ×。労災保険の保険料は全額を会社(事業主)が負担します。従業員の負担はありません。

Q4. 会社員は、1階の国民年金に加えて2階の厚生年金にも加入する。

正解は 。公的年金は2階建てで、会社員は国民年金(1階)+厚生年金(2階)の両方に加入します。

Q5. 住宅ローンを同じ条件で借りた場合、総返済額は一般に元金均等返済のほうが元利均等返済より少なくなる。

正解は 。元金均等返済は早く元金が減るため利息が少なくすみ、総返済額は元利均等返済より少なくなりやすいです。ただし当初の返済額は大きくなります。

Q6. 税理士資格のないFPでも、顧客一人ひとりの具体的な税額計算をして確定申告を代行してよい。

正解は ×。個別具体的な税務相談や申告代行は税理士法により税理士の独占業務です。FPは制度の一般的な説明にとどめます。

📝 一問一答(全7問)

Q1. 家族のイベントと費用を時系列でならべた表を何という?
A. ライフイベント表です。結婚・出産・住宅購入・教育・退職などの予定と費用をならべます。
Q2. 今ある元手を将来いくらになるか求める係数は?
A. 終価係数です。逆に、将来の目標額に今いくら必要かを求めるのは現価係数です。
Q3. 原則75歳以上の人が加入する公的医療保険の制度は?
A. 後期高齢者医療制度です。
Q4. 公的年金の1階部分(みんな共通の土台)は何?
A. 国民年金(基礎年金)です。2階の上乗せは厚生年金です。
Q5. 公的年金の給付の3つの種類は?
A. 老齢給付・障害給付・遺族給付の3つです。
Q6. 繰上げ返済で、毎回の返済額は変えずに返済期間を短くするのはどっち?
A. 期間短縮型です。利息の軽減効果が大きいのが特徴です。返済額を軽くするのは返済額軽減型です。
Q7. 保険の募集・勧誘(販売)に関わる法律は?
A. 保険業法です。保険の募集には登録などが必要で、無資格での募集はできません。

このレッスンのまとめ

今日の要点

・ライフプランの道具はライフイベント表・キャッシュフロー表・個人バランスシートの3つ。
・6つの係数は「何を求めるか」で覚える(終価⇔現価、年金終価⇔減債基金、資本回収⇔年金現価)。
・社会保険は医療・介護・労災・雇用。医療保険は働き方で入る先が変わる。
・公的年金は2階建て(国民年金+厚生年金)、給付は老齢・障害・遺族、受給は原則65歳。
・住宅ローンは金利型(固定・変動・固定期間選択)/返済方法(元利均等・元金均等)/繰上げ返済(期間短縮・返済額軽減)。フラット35は全期間固定。
・FPは制度の一般的な説明はOK、個別具体の独占業務はNG(税理士法・弁護士法・保険業法・金融商品取引法)。

次は、生命保険・損害保険といった「リスク管理」を学びます。万が一に備えるお金の話を、続けて見ていきましょう。